「インプラントってどれくらい持つんだろう?」
「せっかく手術を受けて入れたんだから、できるだけ長く、インプラントを使い続けたいな…」
インプラントを入れることをお考えになるとき、「インプラントの寿命(平均の耐用年数)」が気になる方も多いかと思います。
保険のむし歯治療などと比べて、大きな費用がかかるインプラント。
インプラントの寿命は何年くらいなのでしょうか?
目次
■インプラントの寿命(平均の耐用年数)は何年くらい? 30年以上、インプラントを持たせることも可能?
◎インプラント治療後、20年以上経った時点で「インプラントに問題がない」と答えた人は約78%
気になる方も多い、インプラントの寿命。
インプラントがどれくらい持つかについてですが、日頃のケアの状況などにより、インプラントの寿命(平均の耐用年数)が異なります。一概に、「インプラントの寿命は何年」とは断言はできません。
断言はできないのですが、日本口腔インプラント学会の調査では、
「インプラント治療後、20年以上経った時点で「インプラントに問題がない」」と答えた人は約78%だった、と報告されています(※)。
(※)日本口腔インプラント学会
「20年以上経過したインプラント患者のアンケート調査」
(2018)より引用。
◎適切なセルフケア&プロケアを継続することで、インプラントの10年後の生存率は95~98%という調査結果も
「治療後、20年以上経った時点でインプラントを問題なく使えていた人は約78%」
と聞き、「20年維持できるのなら悪くないけど、約2割の人はインプラントが使えなくなっちゃったの?」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
たしかに、上記の調査結果を見ると、約22%の人が「インプラントに問題があった」可能性もありますよね。なぜ、インプラントに問題が起きてしまったのでしょうか?
インプラントに問題が起こり、インプラントの寿命を縮めてしまう代表的な原因としては、歯周病の一種である「インプラント周囲炎」が挙げられます。
インプラント周囲炎の進行を抑え、インプラント&お口の健康を維持するには、以下の2つのケアの継続が大切です。
[インプラント&お口の健康の維持に欠かせない2つのケア]
-
【セルフケア】患者様ご自身が行う、毎日の歯みがき+歯間清掃
-
【プロケア】歯科医院で受ける定期メンテナンス(インプラントの状態・歯の健康のチェック+インプラントを含む歯のクリーニング)
適切なセルフケア&プロケアを継続することが前提になりますが、あるインプラントメーカー(インプラントパーツの世界シェアトップクラスのストローマン社)の調査では
「インプラント治療後、インプラントの10年後の生存率(=問題なくインプラントが使えている)は95~98%だった」
というデータも(※)。
(※)ストローマン社HPより引用。
インプラント治療後は、適切なセルフケア&プロケアの継続により、10~20年を超え、それ以上の年数、インプラントを維持することもけっして不可能ではありません。
◎インプラント治療後は歯周病の一種「インプラント周囲炎」に注意が必要
インプラント治療後、特に気をつけていただきたい病気が「インプラント周囲炎」。
インプラント周囲炎とは、
-
歯周病菌
-
噛み合わせの乱れ
などの因子が原因で、インプラント周りの歯ぐきや顎の骨がダメージを受ける歯周病の一種です。
インプラント治療後、セルフケア&プロケアを怠ってしまうとインプラント周囲炎を発症しやすくなります。
インプラント周囲炎を発症・進行した場合、歯ぐきが下がったり顎の骨が溶けてしまい、インプラントがグラグラになるケースも。
インプラント周囲炎が重度に進行し、インプラントがグラグラになった場合は、再手術を行ってもインプラントを安定させられないことも少なくありません。
再手術を行ってもインプラントの安定が難しい場合は、患者様のご同意を得た上で、ブリッジや入れ歯など、インプラント以外の補綴治療で歯を補う形になります。
■インプラントに寿命が来たらどうなる? パーツを交換してくれるの?
◎パーツの不具合・変形・破損に対しては、状態に応じて、パーツの修理・交換を行います
セルフケア&プロケアの継続により、10~20年以上持たせることも不可能ではない、インプラント。
ケアの継続によって長持ちさせることも十分可能ですが、インプラントに寿命が来た場合、
インプラントパーツ・人工歯の不具合や、インプラントパーツ・人工歯の変形・破損が起きるケースもあるかもしれません。
[インプラントの構造]
-
インプラント体(顎の骨に埋め入れる人工歯根)
-
アバットメント(インプラント体と上部構造を連結するパーツ)
-
上部構造(歯ぐきから上の歯の部分を補う人工歯)
もし、インプラントパーツ・人工歯に不具合が起きたり、変形・破損した場合は、できるだけ早めに、インプラント治療を受けたクリニックを受診しましょう。歯科医師がインプラント&お口の状態を確認・検査し、状態に応じて、パーツの修理・交換を行います。
◎インプラント周囲炎が原因のパーツの不具合・変形・破損は歯周病治療(歯周外科治療)が必要になるケースも
寿命がきた場合を含め、インプラント治療後に起こり得るインプラントパーツ・人工歯の不具合・変形・破損は修理・交換で対応することが可能です。
修理・交換で対応することが可能ですが、注意点も。
インプラント周囲炎が原因で、歯ぐきや顎の骨がダメージを受けている場合は、パーツの修理・交換を行っただけでは問題(インプラント周囲炎による歯周組織へのダメージ)を根本的に改善できません。
インプラント周囲炎が原因で歯周組織がダメージを受けている場合は、歯ぐきや顎の骨の再生医療など、外科的な歯周病治療(歯周外科治療)が必要になるケースがあります。
なお、インプラント周囲炎が中度~重度に進行したケースでは、インプラントの再手術(インプラント体の入れ直し)は難しいことが多いです。
インプラント体の入れ直しが難しい場合は、患者様のご同意を得た上で、ブリッジ・入れ歯など、インプラント以外の補綴治療で歯を補う形になります。
【毎日のセルフケア+歯科医院で受ける定期メンテナンスでインプラント&お口の健康を維持しましょう】
インプラントを長持ちさせるには、セルフケアとプロケアの継続が重要です。
毎日のセルフケア+歯科医院で受ける定期メンテナンス(プロケア)を継続し、インプラント&お口の健康を維持しましょう。