失った歯を人工歯(義歯)で補う治療を、補綴(ほてつ)と呼びます。
1本や2本など、少数の歯を失ったときは、以下の3種類の補綴治療により、失った歯の噛む機能と見た目を回復可能です。
・インプラント
・ブリッジ
・部分入れ歯
今回は、「歯を補うときは、何を基準に補綴治療を選べば良いの?」、および、それぞれの補綴治療の特徴をご紹介します。
目次
■歯を補うときは、何を基準に補綴治療を選べば良いの?
◎「しっかり噛める」「使い心地が良い」「発音しやすい」を基準に補綴治療を選ぶことをオススメします
歯を失ったときは、以下の3点を基準にして、補綴治療を選ぶことをオススメします。
①しっかり噛める(硬い物や弾力のある物(お肉など)をしっかり噛める)
②使い心地が良い(ずれたり外れない)
③発音しやすい(発音を邪魔しない)
◎残っている歯への影響も考えましょう
上記の3点に加え、補綴治療を選ぶときは、残っている歯への影響も考慮することが大切です。
保険のブリッジ・部分入れ歯は「残っている歯を支えにして人工歯(義歯)を使う」という構造上、支えの歯が傷つく場合があります。
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補綴治療の選び方を踏まえた上で、次の項からは3種類の補綴方法のメリット・デメリットをご説明します。
失った歯の治療方法でお悩みの方は、以下をご参照いただき、3つのうち、どの補綴治療がご自身に合っているのか、ご検討ください。
なお、以下の「噛む力の回復率」は目安の数値です。患者様やお口の状態により、平均以下の回復率になる場合があります。
■インプラント
◎しっかり噛める、自然な見た目、残っている歯を傷つけない
補綴方式··············· 固定式(顎の骨に人工歯根を埋め入れる)
噛む力の回復率·········· 80~90%程度
費用·················· 大きい(自由診療)
見た目················ 自然な白さの歯に近づけられる
インプラントとは、顎の骨(歯槽骨)にインプラント体を埋め入れ、人工の歯根を作る補綴治療です。
埋め入れたインプラント体は生体的現象によって顎の骨と強固に結合するため、安定性が高い人工歯を得られます。治療後は、硬い物や弾力のある物もしっかり噛んでお食事を楽しめます。
〇メリット
・安定性が高い
・残っている歯を傷つけない
・ずれたり外れることがほぼない
・発音しやすい
・セラミック製の人工歯のため、自然な白さの歯に近づけられる
・毎日のお手入れがカンタン(基本的なお手入れは歯みがき+歯間清掃でOK)(※)
(※)インプラントとお口の健康を保つためには毎日のセルフケア、
および、歯科医院での定期メンテナンスが必須になります。
- デメリット
・外科的な手術が必要
・費用が大きい(自由診療)
・手術にともない、細菌感染のリスクがある
・ケアを怠った場合、インプラント周囲炎を発症する可能性がある
■ブリッジ
◎残っている歯を支えにして、人工歯を固定
補綴方式··············· 固定式(残っている歯を支えにして、人工歯を固定)
噛む力の回復率·········· 60~80%程度
費用·················· 比較的安価(保険診療が可能)
見た目················ 不自然な白さになることがある
ブリッジとは、失った歯の両隣(または片方)の歯を削り、橋を渡すようにして、連結した人工歯の被せ物(ブリッジ)を取り付ける補綴治療です。
残っている歯に被せ物を接着して人工歯を取り付けるため、取り外し式の部分入れ歯と比べると安定性は高いです。ただし、人工歯根がないことから、安定性の面ではインプラントに劣ります。
〇メリット
・そこそこ、安定性が高い(部分入れ歯と比べると安定性が高い)
・外科的な手術が不要
・比較的安価に歯を補える(保険診療が可能)
- デメリット
・両隣(または片方)の歯を削る必要がある
・人工歯根がなく、噛む刺激が顎の骨にほとんど伝わらない
・噛む刺激の不足により、顎の骨の吸収(骨が溶ける)が起きることがある
・プラスチック樹脂(レジン)でできているため、不自然な白さに見えることがある
・被せ物と歯の境目や被せ物の底部分に歯垢・汚れが溜まりやすい
■部分入れ歯
◎残っている歯に金具をかけ、入れ歯を支える
補綴方式··············· 取り外し式(残っている歯に金具をかけ、入れ歯を支える)
噛む力の回復率·········· 30~40%程度
費用·················· 比較的安価(保険診療が可能)
見た目················ 不自然な白さになることがある
部分入れ歯とは、残っている歯に金具をかけ、入れ歯を支える補綴治療です。
取り外し式のため、インプラントのような外科的な手術・ブリッジのような歯を削る処置が必要ありません。
手術や歯を削る処置をしなくて済む一方、残っている歯に金具をかけて入れ歯を支える構造上、安定性が低いです。使用中、入れ歯がずれたり外れる場合もあります。
〇メリット
・手術や歯を削る処置が不要
・比較的安価に歯を補える(保険診療が可能)
- デメリット
・安定性が低い
・使用中にずれたり外れることがある
・金具をかけた歯が傷つくことがある
・人工歯根がなく、噛む刺激が顎の骨にほとんど伝わらない
・噛む刺激の不足により、顎の骨の吸収(骨が溶ける)が起きることがある
・プラスチック樹脂(レジン)でできているため、不自然な白さに見えることがある
・毎日、入れ歯を取り外して洗う必要がある
【失った歯の治療方法でお悩みの方は当院までお気軽にご相談ください】
歯を補う治療でオススメなのは、インプラントです。人工歯根に基づく高い安定性をはじめとして、残っている歯を傷つけない、自然な白さの歯に近づけられるなど、インプラントにはたくさんのメリットがあります。
保険のブリッジ・保険の部分入れ歯は、比較的安価に歯を補えます。しかし、保険のブリッジ・保険の部分入れ歯はプラスチック樹脂でできており、歯が白く浮いているような不自然な見た目になりやすいです。不自然な見た目のほか、ブリッジ・部分入れ歯は構造上、残っている歯を傷つける可能性もあります。
歯を補うときは、噛む機能や見た目に加え、残っている歯の寿命も考慮し、補綴治療を選ぶようにしましょう。
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