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テレビを見ているとき、お子さまの口は開いていませんか
テレビに夢中なとき、眠っているとき。ふと見ると口がぽかんと開いている——そんなお子さまの様子が気になる保護者の方は少なくありません。前歯が少し前に出てきた気がすると、心配はなおさら募るものです。口呼吸は、歯並びや顎の発達に関わる習慣として歯科でも注目されています。 この記事では、そのしくみと家庭でできる見直し、相談の目安を整理します。
この記事の要点まとめ
- 口呼吸は舌の位置や唇の力に関わり、歯並びや顎の発達に影響しうる習慣として考えられています
- むし歯や口臭、姿勢、睡眠の質など、歯並び以外にも波及する可能性があります
- 家庭でのチェックや口腔筋トレーニングに加え、6〜9歳頃を目安に歯科での相談が検討されます
口呼吸がお子さまの歯並びや顎の発達に及ぼす影響とメカニズム
歯並びに関わるのは、歯の大きさや顎の骨格だけではありません。唇・舌・頬の筋肉が毎日どう働いているか、その積み重ねも歯の位置に影響すると考えられています2。
舌の位置の低下が出っ歯(上顎前突)を招く理由
鼻で呼吸しているとき、舌は上顎の天井(口蓋)に軽く触れた位置におさまっているとされます。ところが口を開けた呼吸が続くと、空気の通り道を確保しようと舌が下がり、下の歯の裏側に張りつくような低位舌になりやすくなります。
こうなると、上顎を内側から支える力が減り、口が開いているぶん唇が前歯を押さえる力も弱まります。内側から押す力と外側から抑える力のバランスが崩れることが、上顎前突(出っ歯)の傾向につながると考えられています。 舌で前歯を押す舌癖(ぜつへき)が重なれば、その影響はさらに大きくなる可能性があります。
上顎骨の発育不全と開咬(オープンバイト)・狭窄歯列弓
上顎の骨は、舌が内側から当たる刺激も受けながら横方向へ育っていくといわれます。低位舌が長引くとその刺激が不足し、歯列弓が細長いV字型に狭くなる傾向が指摘されています。並ぶスペースが足りなくなれば、永久歯が重なって生えてくることも。
上下の前歯が噛み合わず隙間が残る開咬(オープンバイト)も、口が開いた状態や舌の癖と関わりが語られる歯列の状態です。前歯で麺類を噛み切りにくい、発音が不明瞭といった様子があれば、一度確認しておきたいところです。
遺伝による歯並びと口呼吸による後天的な歯並びの違い
顎の大きさや形、歯のサイズには遺伝の影響があります。一方、口呼吸・舌癖・指しゃぶりなどの習慣から生じる変化は後天的な要因とされます。ご家族に似た歯並びの方がいないのに前歯の突出が気になる、片側だけ形が違う——そんなケースでは習慣の影響を検討する余地があります。
とはいえ両者はしばしば重なり合い、見た目だけで切り分けることは難しいものです。レントゲンなどによる骨格の把握と、お口の使い方の観察を組み合わせて判断していきます。
歯並びだけではない?口呼吸が引き起こすお口と全身のトラブル

口呼吸の話題は歯並びに集まりがちですが、影響が及ぶ範囲はもう少し広いものです。お口の環境から成長期の体づくりまで、いくつかの側面から見ていきましょう1。
口腔内の乾燥によるむし歯・口臭リスクの増加
唾液には、細菌を洗い流し、酸で溶けかけた歯の表面を修復する働きがあるとされています2。口が開いたままだと前歯のあたりから乾燥が進み、この働きが十分に発揮されにくくなると考えられます。
その結果、前歯の表面にむし歯ができやすくなったり、朝の口臭が気になりやすくなったりする傾向があります。 乾いた歯面には汚れも留まりやすいもの。前歯の先に茶色い着色が目立つ、上唇が下唇より白っぽく乾いて見える、といった様子も観察のヒントになります。歯みがきを頑張っているのにむし歯が続くようなら、呼吸の習慣を振り返ってみる価値があります。
アデノイド顔貌や姿勢の乱れ・睡眠の質への波及
口を開けた姿勢が習慣になると、下顎が後ろに下がり、口元が突出したような顔立ちの傾向(いわゆるアデノイド顔貌)が語られることがあります。気道を確保しようと顎を上げ、首が前に出て猫背になりやすい点も見逃せません。
さらに、鼻づまり(アレルギー性鼻炎)や扁桃肥大が背景にある場合には、睡眠中の呼吸が浅くなり、いびきや寝汗、朝の目覚めにくさが出ることもあります。眠りの浅い状態が続けば、日中の集中力が続きにくいなど生活面への波及も考えられます。歯並びの心配だけでなく、呼吸そのものの通り道を確かめる視点が大切です。
家庭でできる口呼吸のチェックと改善に向けたアプローチ
口呼吸は、本人が自覚しにくい習慣です。だからこそ、ご家庭での日常の観察が手がかりになります2。
日常の様子から見分ける口呼吸のセルフチェック項目
意識していないときの様子ほど参考になります。次のような点を、数日かけて眺めてみてください。
- 無意識のとき:テレビ視聴中・読書中・就寝中に口が開いている
- 唇の状態:唇がいつも乾いている、荒れやすい
- 食事のとき:くちゃくちゃと音がする、飲み込みに時間がかかる
- 朝の様子:起きたときに喉が渇いている、いびきがある
- 姿勢:顎が上がり、首が前に出て猫背になりやすい
複数当てはまるようなら、一度専門的な確認を検討してみましょう。
楽しく続けられる「あいうべ体操」とお口周りの筋肉トレーニング
唇や舌の筋肉は、遊びの感覚でも育てられます。代表的なのが「あいうべ体操」。「あー」「いー」「うー」と大きく口を動かし、最後に「ベー」と舌を下へ思いきり伸ばす動きです。1日30回程度を、朝晩に分けて無理のない範囲で続けるのが目安とされています。
ほかにも、舌先を上顎に当てて「ポンッ」と音を鳴らす練習、風船やシャボン玉、ストローで紙を吸って運ぶ遊びなども、唇を閉じる力を使います。「上手にできたら記録をつける」といった工夫を添えると、続けやすくなります。
市販のマウステープ使用時の注意点と鼻づまりへの配慮
就寝時に唇をとめるマウステープは手に入りやすい一方、注意が必要な点もあります。鼻づまりがある状態で口をふさぐと、呼吸が苦しくなり眠りが妨げられる可能性があるためです。
鼻炎や扁桃肥大の傾向があるお子さまでは、まず鼻の通りを整えることが先になります。使用を検討する際は、自己判断で始める前に歯科医院や耳鼻いんこう科へご相談ください。 器具に頼るだけでなく、筋肉の使い方を育てる視点も併せて考えていきたいところです。
歯科医院での検査と早期相談のタイミング
「まだ様子を見ていていいのだろうか」と迷ったときは、相談の目安を知っておくと判断しやすくなります1。
6歳から9歳頃(混合歯列期)に相談を検討すべき理由
乳歯と永久歯が入り混じる混合歯列期は、顎の骨が育つ時期と重なります。骨の成長を活かして永久歯が並ぶスペースづくりにアプローチしやすい時期と考えられており、小児矯正(第1期治療)の相談は6歳〜9歳頃が一つの目安とされています。
当院の小児矯正では、歯並びが乱れる背景そのものに向き合う進め方を大切にしています。顎の成長を利用してスペースを確保する方法では、抜歯を伴わずに進められる場合もあり、就寝時など決められた時間だけ装着する装置も選択肢のひとつです。適応は状態により異なります。
粟田歯科医院で行う口腔機能の確認とMFT(口腔筋機能療法)
当院ではデジタルレントゲンや歯科用CT、3D口腔内スキャナー「i-Tero」などを備え、顎の骨格や歯の位置、気道の状態を含めて把握したうえでご説明しています。あわせて、唇の閉じ方や舌の位置、飲み込み方といった口腔機能の確認も行います。
そこから、一人ひとりに合わせたMFT(口腔筋機能療法)をご案内します。舌をあるべき位置におさめる練習や、唇を閉じる力を養う運動を、ご自宅での宿題として少しずつ積み重ねる方法です。当院は丁寧なカウンセリングを心がけており、治療方法は保護者の方とお子さまご自身に選んでいただく姿勢を大切にしています。
耳鼻いんこう科との連携や費用面での考え方
口呼吸の背景にアレルギー性鼻炎や扁桃肥大がある場合、歯科だけでは呼吸の通り道に関わる課題に対応しきれません。必要に応じて耳鼻いんこう科の受診をおすすめし、鼻の状態を整えながらお口の機能を育てていく流れをご提案します。
費用面については、小児矯正やMFTは基本的に自由診療となります。ご家庭にとって決して小さな支出ではありませんが、早い段階で習慣に向き合っておくことは、将来の治療の選択肢を広げる土台づくりにもつながると考えています。当院ではご相談の段階で費用の見通しをお伝えしますので、ご家族で検討する材料としてお使いください。なお、小児矯正の料金は改定を予定しているため、詳細は受診時にご確認ください2。
よくある質問
Q1. 口ぽかんは歯並びに影響しますか?
A. 口が開いた状態が続くと、舌の位置が下がり、唇が前歯を抑える力も弱まります。この筋肉のバランスの変化が、上顎前突や開咬といった歯列の状態に関わると考えられています。ただし影響の程度はお子さまごとに異なりますので、実際の状態を確認したうえでの判断が必要です。
Q2. 歯列矯正で口呼吸は改善しますか?
A. 矯正装置で歯並びや顎の形を整えることが、唇を閉じやすくする助けになる場合があります。一方、鼻づまりや扁桃肥大が背景にあるときは、耳鼻いんこう科での対応やMFT(口腔筋機能療法)を組み合わせて考えていく必要があります。装置だけで呼吸の習慣がすべて変わるとは言い切れません。
Q3. 歯列矯正を慎重に検討したほうがよい場合はありますか?
A. むし歯や歯ぐきの炎症が進行している場合は、まずそちらの処置を優先します。また、装置の装着時間を守ることが難しい状況や、通院を継続しにくい環境では、開始時期や方法を見直すこともあります。カウンセリングで生活状況を伺いながら一緒に検討します。
Q4. お子さまの歯科矯正で気をつけておきたい点は何ですか?
A. 装置の使用中は汚れが溜まりやすく、むし歯や歯ぐきの炎症に注意が必要です。成長には個人差があるため、治療期間が想定より長くなったり、経過に応じて追加の対応を検討したりする場合もあります。装着時の違和感や発音のしにくさが一時的に出ることもありますので、事前に確認しておきましょう。
Q5. 4歳のお子さまでも相談できますか?
A. 相談自体は年齢を問わず可能です。低年齢のうちは、指しゃぶりや舌の癖、食べ方といった習慣の確認と、生活面のアドバイスが中心になります。装置を使うかどうかは成長の段階を見ながら判断しますので、まずは現状を把握する機会としてご利用ください。
参考文献
1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/
2. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(口腔・歯の健康)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/teeth
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